株式会社ホームロジスティクス様

全国対応可能なネットワーク、法令遵守が委託先選定の決め手

株式会社ホームロジスティクス様

廃プラスチックの分別処理は「後始末」。 そこまでやるのが我々の仕事です。
ブランド接点をいかにマネジメントするか、「仕組み化」の重要性を再認識する機会になりました。

急成長を遂げる株式会社ホームロジスティクスが、廃プラスチックの売却先に選んだのは、全国30カ所以上に拠点を持つパンテックでした。
選定の経緯から、取引開始による成果、さらに今後のビジョンについて、代表取締役社長・松浦学氏、営業統括本部 本部長・山崎和俊氏、営業統括本部オフィス・森園和隆氏、そして株式会社ニトリファシリティ 営業部長・村田暁弘氏にお話をうかがいました。

● 株式会社ホームロジスティクスについて

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ニトリグループのロジスティック部門を担う子会社として、主に店舗への納品、ならびに、営業所から店舗顧客(一般家庭)へのラストワンマイル(配送業務)を担っている。店舗への納品は、海外からコンテナで運ばれてきた商品を、全国10か所に展開する物流センター(DC)で保管・仕分けして、少量多頻度の納品を実現。一方、ラストワンマイルは、全国47都道府県・78か所の営業所から家具の配送、組み立て設置などを行う。現在は、配送エリアが全国の98%をカバーするという物流ネットワークと、サービス業としてのノウハウを強みとして、外販にも積極的に取り組む。ニトリグループ以外の家具と共同配送を実施。大手通販会社などから、品質面で高く評価されている。また、国内における輸入コンテナ本数においても、20フィートコンテナ換算で年間15万本以上にもなり、国内トップクラスの物量を取り扱う同社は、近年、物流倉庫の自動化を進め、国内初となる「オートストア」を導入し、業務レベルの平準化、現場の負担軽減を実現。今後は、ラストワンマイルのみならず、物流センター運営や店舗への配送といった物流における上流工程においても外販を拡大していくなど、『ヨロコビ、はこぶ。』というスローガンのもと、時代に合わせたトライ、チャレンジをする考えである。設立;2010年3月。従業員数;526名(2015年2月期)。本社;札幌市北区。

新しいウインドウで開きますホームロジスティクス

Press1:
パンテックとの取引状況:廃棄物削減量は10%

Q:現在のパンテックとの取引状況をお話下さい。

2015年11月から取引がスタートしました。現在、回収拠点は、78拠点中の7拠点です(2016年3月現在)。

160518V6t35Qck現在(2016年3月下旬)、弊社はパンテック社を通して、市原、川崎、三郷、所沢、新座、北大阪、大阪の7営業所[川崎、三郷、大阪はDC(物流センター)併設]で、ビニール袋、PPバンド、ストレッチフィルムの3種類のプラスチック材をリサイクルしています。ビニール袋とPPバンドは、一般のご家庭にお届けするマットレスやソファなどの商品を梱包している外装材です。トラックでお届けした際に商品から外したものを持ち帰っています。ストレッチフィルムは、DCで荷受けする際に排出されるものです。パレットに積んだ商品が荷崩れしないように固定しているフィルムです。

取引を開始したのは2015年11月1日です。市原、川崎の2拠点からスタートし、2015年12月からは三郷、所沢、新座を加え、さらに2月からは北大阪、大阪を加えて7拠点となりました。
回収頻度は、多いところで週4回、少ないところで週2回程度となっています。

Q:パンテックに売却する廃プラスチック材の回収フローを教えてください。

配送時に持ち帰るビニール袋とPPバンド、DCでの荷解き時に出るストレッチフィルム、それぞれゴミなどと混在しないように分別して保管。ある程度の量が溜まったところでパンテック社が回収します。

配送時に出るビニール袋とPPバンドは、弊社の車両のセールスマンが現地で開梱して商品を設置した後、その際に出るその他の包装資材(発泡スチロール、ウレタンなど)とともにトラックに積んで、営業所に持ち帰ります。持ち帰った包装資材は、各営業所にて廃棄分と有価物買取(リサイクル)分とに分別し、それぞれ所定の場所に保管します。この際、ビニール袋とPPバンドも混在しないよう分別して保管します。また、ストレッチフィルムは、DCで荷解きした後、やはり他の廃棄物などとは混ざらないよう所定の位置にまとめて保管します。ある程度の量が溜まった時点で、パンテック社に連絡して回収に来てもらうというフローとなっています。

 

Press2:
廃棄物削減を目指す中でパンテックとの取引がスタート

Q:ビニール袋、PPバンド、ストレッチフィルムの従来の処理方法をお話下さい。

拠点で排出する廃棄物は、自治体が定めるルールに準じて分別し適正に処分しています。現在パンテック社を通してリサイクルしているプラスチック材は、処理費用をかけて廃棄していました。

1605182bcluMKpこれまでは処理費用をかけて廃棄していました。基本的に営業所やDCで排出される廃棄物は、各拠点が立地する自治体が定めるルールに準じて処理しています。分別のルールは自治体ごとに様々ですが、各自治体が定めるルールに準じて、有価資源化できるもの、産廃として処理するものに分別して処理しています。現在、パンテック社に引き渡している廃プラスチックもその枠組みの中で廃棄物として処理していました。

その一方で、弊社は各拠点から出る廃棄物のリサイクルに継続的に取り組んでいます。ニトリグループとして、新規出店が加速する中、増加する廃棄物の処理費用削減は解決すべき課題の一つです。パンテック社との取引も、その取り組みの一環としてスタートしました。

Press3:
全国対応、法令遵守が委託先選定の決め手に

Q:リサイクル会社の選定経緯を教えてください。

全国に展開する拠点での買い取り対応が可能なことを前提にリサイクルの委託先を探していました。パンテック社は、法令遵守の面からも安心してお取引できる。それが選定の決め手となりました。

1605180wyH9Kws弊社は、リサイクルへの取り組みを進める中で、信頼してリサイクルを委託できる取引先を探してきました。パンテック社は、グループ会社のニトリファシリティからアプローチして商談がスタートしました。

リサイクルの委託先として重視したことは、第一に全国で買い取りを行っていることです。弊社は営業所ならびにDCを全国的に展開しています。その全ての拠点を網羅できて、なおかつ価格交渉を含めて一括商談できる委託先を探していました。パンテック社は、全国30か所以上に拠点を持つということで、その基準を満たしていますし、これまでの実績や法令遵守という点でも安心して委託できる企業であると判断し、具体的な契約締結に向けた準備を始めました。それが2015年7月です。

 

Q:契約締結に向けた準備とは具体的にはどのようなことをされたのですか。

パンテック社の担当者に各拠点の現場に来ていただいて、従来の廃棄物の中から有価物化できるプラスチック材を仕分けしてもらいました。その後、マニュアル化、分別保管場所の設置を行い、正式に契約を締結しました。

まずは、これまでに処理費用をかけて廃棄したものの中からパンテック社を通してリサイクル出来る廃プラスチックの特定を行いました。取引をスタートするにあたっては、最も排出量が多い2営業所からスタートしたのですが、これらの現場へパンテック社の担当者に来ていただいて、現場の担当者も同席の上、集まってきた排出物の荷物を全部開封して、何が有価物になるのか、何が有価物にならないのかを確認していきました。
その上でマニュアル化して、分別保管場所を作り、また、それと並行して特定した有価物の買い取り価格をお見積もりいただき、契約を締結しました。

Press4:
廃プラスチックの分別を通して「後始末」の重要性を改めて認識

Q:パンテックとの取引をスタートするにあたって、または廃プラスチックのリサイクルに取り組むにあたって、懸念されていたことはありませんでしたか。

主に現場スタッフの負担軽減といった観点から、分別の徹底や現場の反応、実質的な効果に対する懸念とせめぎ合いがありました。

160518zxiBPXaO(1)分別の徹底
(2)現場の反応
(3)実質的な効果
この3点に関する懸念がありました。実はこの3点は本質的に絡み合っている問題です。

(1)分別の徹底
パンテック社と取引する上で求められている条件は、廃プラスチックの種類ごとに、ごみが混入しないよう完全に分別することです。これまで廃棄物として処理していたものを、現場が意識を変えて取決め通りに分別処理することが出来るかどうかという心配はありました。

(2)現場の反応
分別の徹底は、現場にどこまで負担を強いることが出来るかという問題ともリンクします。実は、配送およびお客様宅での組み立て設置業務に携わるのは、協力会社様の社員が主です。委託するにあたって最も重視すべきは、お客様との接点におけるサービスの品質です。これについては徹底するようお願いしてきました。それと同時に、廃棄物の処理についても大分類の分別はお願いはしてきましたが、さらに細かく分別することになると、彼らにこれまで以上の負担を強いることになります。それをどこまで、徹底できるかという懸念はありました。

(3)実質的な効果
弊社では「ヨロコビ、はこぶ。」という独自の企業理念に沿って、現場で働く人々の負担軽減に取り組んできました。笑顔でお客様とコミュニケーションをするサービス業において、そこで働く人々を犠牲にした経営効率の進め方は弊社のポリシーに反します。人に負担を強いて利益を生むのではなく、仕組みで利益を残す。それが弊社のポリシーです。物流倉庫の自動化も、その一環としてヨーロッパ視察などの準備を進め、実現しました。弊社の社員に対してだけではなく、協力会社様に対しても同様の想いを持っており、労働法上で定められた時間内で仕事が終えられる仕組みを整備して来ました。そういった背景があるため、稼働時間は可能な限りお客様へのサービスに集中させたいという想いがありました。もちろん、廃棄物を分別して有価物化することも経営上の課題ではありますが、トータルで考えた場合の、実質的な効果はどうか、というせめぎ合いはありました。

 

Q:それらのご懸念は、どのような形で解決されたのでしょうか。

「私たちの存在意義とは何か」に立ち返り、協力会社とも共有することで、前に進むことが出来ました。廃プラスチックの分別処理は「後始末」の問題です。現場のスタッフが自然にできるような仕組み化の重要性を改めて認識する機会になりました。

最終的には、私たちの存在意義に立ち返ることで解決しました。今回、改めて認識したことは、廃プラスチックの分別処理は、つまり「後始末」の話であるということです。

我々の仕事は、お客様に商品をお届けするだけではありません。特に、家具は組み立てて設置する作業が発生します。そういった業務を通じて、お客様に「買い物をして良かった」とご満足いただくことが仕事です。従って組み立てている間のお客様とのコミュニケーションや整理整頓も非常に重要な要素となります。設置し終わった後に「素敵なテーブルですね」と一言お伝えして帰ることができる。商品から取り外した包装資材も、きちんと整理して持ち帰ることが出来る。そこまでが仕事です。ただし、それを、現場の方に上から「やれ」と押し付ければ、「なぜそこまでしなければいけないのか」という反発が生まれます。また、それは言われたからやる類のものではありません。現場の方が自然に出来なければ、お客様の満足、笑顔には繋がりません。
弊社は、そういった考えのもとで、協力会社様と取引を始める際には、こちらから訪問してビジョンを話し合ったり、先方の雰囲気を見たりして共感が得られることを確認します。協力会社様を弊社にお招きして経営方針の確認会や勉強会なども行っています。その一環として、今回も私たちの存在意義とは何かを協力会社様と確認し合った上で、廃プラスチックのリサイクルに取り組む理由をご理解いただいたことが、前に進んだ要因となりました。

今後、我々が取り組むべきことは、「仕組み化」によるブランド接点のマネジメントです。弊社は、グループの商品であれば、生産工程から変えることも可能です。製品の組み立てを簡単にすれば、お客様と会話する余裕も生まれ、分別も容易になります。他にも梱包の仕方を見直すなど、出来ることは沢山あるでしょう。廃プラスチックの分別に取り組みはじめたことが、そのようなことを考えるきっかけとなりました。それによってまた、弊社が成長する余地ができたと考えています。

Press5:
経済合理性だけではなく、どのような会社を通して処分するかが非常に重要

Q:2か所からスタートしたお取引が、5か所、7か所と順調に取引が拡大していますね。これは、ある程度の削減効果が見込まれたことの結果と考えてよろしいですか。

取引拡大の判断基準は、相手の企業がどのようなポリシーを持ち、またそれが浸透しているかどうか。その見極めは、実際に回収に来る人の仕事ぶり、人となりを見ることで可能です。

1605189BQGU6RS取引の拡大については、弊社側の都合だけでは決められません。弊社とパンテック社、商談をしながらお互いに進めていくことになります。弊社側にとっては、当初10%の廃プラスチックを有価物化できるという意味では、経済合理性はあるという評価はもちろん可能です。が、しかし、それは本質的な問題ではないと考えています。

つまり、単純にコスト削減が進むから取引を拡大するというわけにもいかないわけです。我々の拠点にどのような人物が来て作業をするのか、その人の仕事ぶりや人となりを見ることで、パンテックという会社がどのようなポリシーを持ち、それが浸透しているかどうかがわかります。弊社側の立場からすると、パンテック社との取引拡大も、そういった判断基準に基づいています。

経済合理性だけで判断することは、社会的な信用を落とすことにもなりかねません。お客様に商品をお届けする過程で排出されるものを、どのような会社を通して処分するかは非常に重要です。「安いからといって、ああいう会社と付き合っているのか」などと言われるような、裏表がある取引はすべきではありません。コスト削減は全体として考えるべきものです。パーツだけを見て判断することは、弊社の企業理念に反した経営だと考えています。

Press6:
「社員の行動と経営者の行動が一致していることを確認。取引出来て良かった。」

Q:今回、パンテック本社を訪れて、社員と経営トップの行動が一致していることが確認できました。取引が出来て良かったと感じています。

今、最も重要な課題となっているのがケナフを使った原料のリサイクルです。

現場レベルで言うと、ご担当者の迅速かつ柔軟な対応には大変助かっています。特に、取引開始後は、分別がうまくいかないこともありますが、そういった際にも粘り強く、ご協力いただいてリサイクルすることが出来ています。そういうところで我々も信頼感を抱いています。
今回、導入事例のインタビューをご依頼いただいた際、当初は弊社にお越しいただくというお話でしたが、出来るだけこちらから足を運ぶという弊社の方針もあり、こちらから訪問させていただきました。こういった機会は、日ごろ我々が接している現場の社員の方々と、経営トップの行動が一致しているかどうかといった点を拝見させていただく良い機会だと考えています。今回は、我々がオフィスに入室した際の皆さんの対応を拝見し、黒木社長をはじめ経営トップの方のお考えを伺ったことで、一致しているということが確認出来ました。パンテック社と取引が出来て本当に良かったと感じているところです。

Press7:
今後のビジョン

Q:最後に、廃プラスチックのリサイクルについて、今後のビジョンなどがございましたらお話ください。

今後、物量が加速度的に増える中、廃棄物の処理を仕組みとして真剣に考える必要が高まります。パンテック社の他社事例などをベースにしたアドバイスを期待しています。

16051976Rmv0M3過去5年間で弊社が配送している件数は2倍に増えましたが、今後7年でさらに2倍になる計画です。しかもそれはニトリグループの配送だけで、外販を含めればとてつもない量になります。また取り扱う製品も家具以外の雑貨など多様化していきます。加えて6万坪のDCを3拠点ほど建設する予定もあり、物量が加速度的に増える見込みです。その中で廃棄物も増加していきますので、これまで以上にその処理を職場環境の整備も含めた仕組みとして真剣に考えていかなければいけません。
そういった中で、パンテック社には、他社の事例などをベースにしたアドバイスを期待しています。そこから新しいエコシステムが立ち上がっていく可能性は大いにあると考えています。

 

Q:今のお話と関連したところで、パンテックからも一言コメントをお願いします。

「後始末」の話が印象的でした。将来に向けては、再生原料の提供などを含め、ホームロジスティクス様のリサイクル活動全体に貢献できればと考えています。

本日は本当にありがとうございました。企業理念の部分で共感し合えたことは大変嬉しく感じています。
お話の中で非常に印象的だったのが「後始末」という言葉です。御社の企業理念が従業員の方々や協力会社に浸透していく過程で、弊社が微力ながらでもお役に立っているということが感じられました。
弊社はまだまだ未熟ではありながらも、主にプラスチック製品を生産している企業様を中心に事業を拡大してきました。その中で御社のように流通を支えている企業様とのお取引は珍しく、自慢をしたいお取引先様の一社です。将来的にご提案したいことは、例えば御社の製品パッケージに使っておられるビニール袋などを原料として、弊社から再生原料や、製品を提供させていただくことです。これは流通に携わっている御社だからこそ実現できることかと存じます。そういった展望も含め、御社のリサイクル活動全体にお力添えできればと考えています。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

 

まとめ

・パンテックとの取引状況:廃棄物削減量は10%
・全国対応、法令遵守が委託先選定の決め手に
・経済合理性だけではなく、どのような会社を通して処分するかが非常に重要