相談した全てのリサイクル会社が敬遠したドアトリム廃材の有価原料化がパンテックにより実現。産業廃棄物処理費用が約30%削減できる見込みです。
プラスチック素材と繊維素材などとの複合品であるドアトリムのリサイクルが課題となっていたトヨタ紡織九州株式会社
(以下:トヨタ紡織九州)。2015年4月、パンテックとの取引を開始することでその課題を解消しました。
パンテックとの取引に至った経緯について、宮田工場・宮田製造1室 室長 尾畑勝巳氏、
宮田技術員室 宮田技術員係 係長 高取孝信氏、業務部 総務室 安全環境係 谷川一寿氏に伺いました。
● トヨタ紡織九州について
自動車内装品と自動車用フィルターを主力製品とするメーカー・トヨタ紡織の100%子会社。トヨタ自動車九州で生産されるレクサス車(ES、RX、HS、CT、NX)、トヨタ車(SAI)、およびダイハツ車(ミライースなど)に搭載される自動車内装品とエンジン周辺部品の生産を行っている。本社工場ではシートの生産、宮田工場ではドアトリム、エアクリーナー、インテークマニホールド、シリンダーヘッドカバーの生産を行っており、レクサス品質に代表される世界最高の品質を誇る。設立;1991年8月。事業所;佐賀県神埼市(本社工場)、
福岡県宮若市(宮田工場)。宮田工場操業開始;2005年。従業員数;1155名(2015年8月現在)
弊社はパンテック殿に宮田工場で発生する廃プラスチック材のリサイクル(有価原料化)を依頼しています。具体的にはドアトリム廃材です。
(※ケナフとは熱帯から温帯地域にかけて生育する一年草の植物で生育が早く、二酸化炭素の吸収能力が高い植物。)
ドアトリムは自動車のドアの内張りパネルの事で、修復できる傷は修復致しますが、どうしても修復不可能なものがありそれらが廃材となります。
ドアトリムは自動車のドアの内張りパネルの事です。インジェクションで成型したドアボードに様々なパーツを組み付けて完成します。各工程ごとに工程台車に載せて工場内を移動させるのですが、その際に細かい傷がつくことがあります。修復できる傷は修復致しますが、どうしても修復不可能なものがありそれらが廃材となります。また、作業者の訓練用のドアボードで不要になったものも廃材となります。
引き取り条件として、以下2点の取り決めがあります。
(1) 廃プラスチックの種類ごとに、ごみなどが混入しないよう完全に分別すること。
(2) 輸送効率を高めるために分別した廃プラスチックを減容・圧縮加工しトラックが満載になる状態で出荷すること。
従来は、ドアトリム廃材を産業廃棄物として廃棄していました。
通常、ドアトリムのような複合材をリサイクルするには、パーツを解体して素材ごとに完全分別する必要があり、可能な限り分別を行っておりますが、複合品の為、リサイクルができない部品があり、以前から取引している廃プラスチックのリサイクル会社2社を含めた10社ぐらいと交渉してきましたが、全て良い回答が得れませんでした。そのような状況な中パンテック殿からこちらの要望に沿った形でリサイクルできそうだというお話があり商談を進めました。
弊社に最初にお電話をいただいたのが2013年です。それからトライを重ねて2014年中に、有価で引き取れるという結論をいただき、区切りの良い年度明けからのスタートということになりました。
依頼先選定の評価ポイントは、回収までの工数と引き取り価格の2点です。
依頼先選定の評価ポイントは、リサイクル内容及び回収までの作業工数と引き渡し価格が検討項目となっております。ただし、引き渡し価格に関しては高ければ良いというものではないと考えています。引き渡し価格が高すぎると市況とのバランスが崩れ、取引自体が長続きしませんので適正価格を常に念頭においてリサイクル業者の選定を行っております。
パンテック殿の場合は、リサイクル内容、工数的に弊社側にかかる負担が非常に軽い(最小限の分別で良い)ことと、満足できる引き取り価格を提示していただけたことが取引開始の決め手となりました。
九州に協力工場があり、その工場が弊社との取引がある業者だったということもあり、商談を進める上で障害となる要素はありませんでした。
従来、相談した全てのリサイクル会社が敬遠した製品を有価で引き取り、その取引をしっかり継続していくとお話を頂いていることに、非常に大きな価値を感じています。
産業廃棄物として処分していたドアトリム廃材をリサイクル(有価原料化)できたことで、宮田工場全体の産業廃棄物の処理費用に関して約30%の削減が見込まれます。
パンテック殿との取引を開始してから3か月しか経っていないため、あくまで試算ですが産業廃棄物として処分していたドアトリム廃材をリサイクル(有価原料化)できたことで、宮田工場全体の産業廃棄物の処理費用に関して約30%の削減が見込まれます。この数字は、従来、産業廃棄物業者にお支払いしていた経費の削減分とパンテック殿との取引開始以降の売却による収入を合算したものです。これは産業廃棄物の低減であり会社全体の損益に影響する成果であるということで社内外などから評価されています。
今、最も重要な課題となっているのがケナフを使った原料のリサイクルです。
このような背景があるため、今後はケナフを使用した原料のリサイクルの仕組みを作っていくことが課題だと考えています。パンテック殿にも前向きにご検討いただくことをお願いしているところです。
今後、取引の内容を精査して、双方のメリットを探りながら関係を発展させられれば良いですね。
弊社は現在、廃プラスチックのリサイクルを複数の企業に依頼しています。その中でも特にパンテック殿は弊社に積極的な提案を頂いていますので、取引拡大の可能性はあると考えています。今後、取引の内容を精査して、双方のメリットを探りながら関係を発展させられれば良いですね。