「で、おわらせないPROJECT」第1弾

dentsu Japan※1が2022年に始動させた「で、おわらせないPROJECT」は、身近にあふれるプラスチック製品に、環境に配慮しながらアイデアとデザインを加えてアップサイクルすることで、あたらしい価値を生み出すプロジェクトです。また、多くの方が参加できる仕組みをつくることで、より良い循環を生むことを目指しています。パンテックはこのプロジェクトに企画段階から参画し、リサイクルパートナーとして携わっています。

パンテックでは、おもに再生原料加工とコンパウンドを担当。今回の対象アイテムである「クリアファイル」と「防災用ヘルメット」はともに単一素材であるため、素材としては再生原料化がしやすいアイテムです。ただし、いずれも市場流通後に使用されているポストコンシューマー材料であり、製造工程において発生するプレコンシューマー材料に比べて、ラベルシールや埃、汚れなどの付着物・異物の混入が避けられません。加えて、「クリアファイル」は無地の透明のものだけではなく、色付きのものや印刷がなされているもの、箔押しのものなども合わせて回収をしたため、コンタミネーションコントロール（製品への不純物の付着や異物の混入がないように管理すること）が難しく、再生原料加工及びその後の成形を阻む要因となることが明らかでした。

そこでパンテックでは提携パートナーとの協議を重ね、粉砕加工時に目視で確認できる異物を除去し、再生原料加工時にも異物を取り除くためのメッシュ（スクリーン）を目の細かいものを重ねて使用するなど、可能な限りのコンタミネーションコントロールを実施。

また、最終製品である「名刺用凸面点字器 ten・ten」の成形（射出成形）に適した物性となるよう、流動性や強度を高めるためにコンパウンドも行いました。

点字を書いたり読んだりしたことがある人は、社会の中では圧倒的にマイノリティーではないでしょうか。そしてそれは、社会の大部分の人が目の不自由な方々との接点が少ないことと無関係ではないように思います。
「名刺用凸面点字器 ten・ten」は名刺に点字を書くことを通じて、点字の読み書きの大変さや社会的な意義について一人でも多くの方に知ってもらい、その名刺を活用することで、目が不自由な方々とのコミュニケーションを促進させたいとの思いから、DEI※2の啓発・推進にもつながるアップサイクル製品として開発されました。
また、もともと廃棄されていた素材からアップサイクルされたten・tenを使ったり、点字入り名刺を交換することで、サーキュラーエコノミーに触れてもらい、人々の意識や行動をグリーンシフトさせる装置となることも期待されています。

※2「Diversity（ダイバーシティ：多様性）」「Equity（エクイティ：公平性）」「Inclusion（インクルージョン：包摂性）」の頭文字からなる略称。従業員一人ひとりが持つ多様な個性を公平に包摂しながら最大限活かすことが、より高い価値創出につながるという考え方。

「で、おわらせないPROJECT」第1弾