株式会社橋本 特例子会社 株式会社ひまわり畑様
リサイクルフローの改善により産廃物のリサイクルと雇用創出を実現
株式会社橋本 特例子会社 株式会社ひまわり畑様
ハンディキャップを持つ従業員の雇用創出、資源リサイクルに対する社員の意識向上を実現。
「ノーマライゼーション」を実践する企業として、障がい者雇用の環境づくりに役立ちたい。廃棄物収集業や資源リサイクル業を通じて環境に貢献している株式会社橋本は2011年2月、特例子会社ひまわり畑を設立し、資源リサイクル事業のさらなる展開へ。リサイクルが難しい資源ごみへの取り組みとして、パンテックをパートナーに選んだ経緯と成果を代表取締役社長・橋本和彦氏にうかがいました。
● 株式会社橋本 特例子会社 株式会社ひまわり畑社について
株式会社橋本は、一般廃棄物と産業廃棄物の両許可を取得し、ひとつの拠点で効率よく廃棄物を受け入れられる廃棄物総合処理センター(ひまわりクリーンセンター)を2007年2月に建設。当センターの設立により、金属類、プラスチック類、繊維類、紙類など多岐にわたる資源ごみのリサイクルを実現。資源ごみの適正処理を行い、各自治体や多くの企業が進める「環境負荷の軽減」へ貢献し、「資源循環型社会」の形成に尽力している。設立;1973年5月。本社;岐阜県可児市。株式会社ひまわり畑は、このひまわりクリーンセンター内のリサイクル業務を請負っている。
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パンテックとの取引状況
Q:パンテックとの取引状況を教えてください
全国から回収するCDやDVDを細かく分別・加工し、パンテックへ販売しています。
取扱う資源は多種多様ですが、それぞれのヤードでの選別、加工業務を行っており、プラスチックリサイクルに限定すると、廃棄されたCDやDVDを回収し、リサイクルセンターでの選別作業、加工業務を行った後にパンテックに引取っていただいています。パンテックとの取引がスタートした2011年4月より長期的なお付き合いをさせていただいています。
Q:パンテックとの取引が始まった経緯を教えてください
パンテック社員によるプラスチックリサイクル提案と設備導入の話をいただいたことがきっかけです。
パンテック社員によるプラスチックリサイクルの提案と破砕機導入の話を受けたことが取引開始のきっかけとなりました。パンテックからの提案をいただく前に、プラスチックリサイクルへの取り組みを一度は試みたものの、分別作業にかかる時間とコストを考えると採算が合わず、断念していた経緯がありました。この段階では、すべてのプラスチックを産業廃棄物として処理していました。
しかし、このリサイクル処理センターを設立し、リサイクルを効率よく行える体制が整ったタイミングでプラスチックリサイクルに関する提案をいただき、リサイクルに向かないと思っていた商材のリサイクルが実現しました。今では、回収したCDやDVDを約10種類(PS、PP、PCなど形状や色別に細分化)に分別、破砕し、パンテックへ販売しています。
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分別の徹底による高付加価値
Q:パンテックと取引を開始したことで、どのような変化がありましたか?
当初はリサイクルの可能性を考えていませんでしたが、様々な提案によって廃棄物の適正処理を実現できました。
当初はリサイクルが難しい商材であると思い、リサイクルの発想はなかったが、パンテック社員からプラスチックリサイクルに関する情報や出荷のアドバイス、分別と加工を行うことでより高い価格での取引が実現できると伺いました。取引開始からまもなく、パンテックブランド「Lita」シリーズの破砕機を3台導入し、1台ごとに樹脂専用の機械利用を行うことで破砕時の異樹脂混入を防ぎ、品質向上によるさらなる価格メリットを生み出しました。
このようなパンテックからの提案によりプラスチックリサイクルの可能性を知ることができ、また、私たちが商品を回収させていただいている全国の取引先企業に対して、従来の廃棄処分ではなくリサイクルとしての買取り提案が実現しました。環境事業に携わる弊社としても、廃棄物の適正処理という側面で大いに貢献できる仕組みが作り上げられました。
Q:従業員の方の意識は変わりましたか?
社員の意識向上につながり、分別の精度が次第に上がっていきました。
くわえて、分別作業、加工業務を通じて、社員の意識向上につながっていきました。様々な種類のプラスチック樹脂をリサイクルする上で、最も重要なことが分別の徹底です。パンテック社員から、単一樹脂に異樹脂や異物が混入するといかに価値が下がってしまうのか、分別の重要性を教えていただきました。
分別作業を行い始めた頃は、現場での意識もそれほど高くなく、異樹脂や異物の混入が多く発生していました。そのたびに、パンテックの協力の下で指導を受け、現場指導者による作業者一人ひとりへの熱心な指導を継続したことで、次第に分別精度が上がり、高品質を保持することにプライドを持つようになりました。
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雇用創出に大きく貢献
Q:特例子会社の設立理由をおしえてください
よりよい雇用条件の改善を図るため、特例子会社を設立しました。
弊社の大きな特長として、障害を持った方々がプラスチックのリサイクルに携わっていることが挙げられます。障害を持った方の雇用は会社全体の40%を占め、弊社のリサイクル事業になくてはならない存在となっています。もともとは、親会社である株式会社橋本で準社員として登用していましたが、当時の賃金体系では障害を持った方に対する範囲がカバーされておらず、よりよい雇用条件への改善を図るために、特例子会社の設立に至りました。
Q:ハンディキャップを持った方の積極的な採用を継続している理由を教えてください
ハンディキャップを理由に、働く機会が不平等であってはならないと考えているからです。
始めは、職業安定所の職員の方から障害者雇用に関する話をいただいたことがきっかけでした。弊社の企業規模であれば、国が定める法定雇用率は1名ですが、障害を持った方を1名採用した後も採用を継続し、今では会社全体の40%を占めるまでになりました。ハンディキャップがあるからと言って、働く機会が不平等であってはならないと考えています。障害のレベルには個人差がありますが、しっかりと仕事を教えることで仕事を覚える喜びや働くこと自体に喜びを得る方もいらっしゃいます。
また、弊社では障害を持った方の採用だけでなく、65歳以上のシニアの方々の採用も行っています。年齢で働く機会を制限するのではなく、働く意欲のある方に働く機会を与えることでますます地方の雇用創出が進んでいくのではと考えています。雇用面での柔軟な対応を継続して行い、今後は新卒採用にも注力していく予定です。
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パンテックのサービスに対する満足感
Q:パンテックとの取引でどのような点に満足していますか?
スピーディな対応かつ正確な事務処理に加え、当社ならではの課題解決に対応いただいています。
電話やメールでの対応がスピーディに行われており、かつ正確な事務処理を行っていただいています。出荷連絡から引き取り連絡、引き取り後の入金に至るまでがスムーズでとにかく速くて満足しています。数年前になりますが、障害を持った方でも作業ができるよう破砕機の仕様変更の相談をさせていただいた時にも、迅速な対応をいただきました。その際には、作業者の安全対策として破砕機の投入口にベルトコンベアを付けていただきましたが、今後は分別の精度をさらに高めるための金属除去装置や色識別装置なども付け加えられたら嬉しいです。
毎月配信いただく直近アジア市況レポートでの情報提供は、取引先企業に対する説明を行う際に大変助かっています。
また、毎月配信いただく直近アジア市況レポートでは、海外サプライヤーの状況や相場情報が入手できるため、取引先に対しても説明がしやすく大変助かっています。リサイクルの提案をいただく際に、私たちが販売した商品がどの国でどのように利用されるかまで説明いただけるので、透明性の高い取引ができていると感じます。リサイクルフローがわかっているので、市況の変化や樹脂相場の変動に対しても理解でき、対応もできます。
最近では、従来出荷しているPCやGPPS以外にも出荷のラインナップが増えるなど、どんな商品でも安心して出荷ができています。中国の「国門利剣」による環境規制の影響で、他社は販売先を失い、事業の継続そのものが危ぶまれている状況である中、中国以外の第三国市場に販路を持っていることは、パンテックの大きな強みではないでしょうか。中国という最大市場を失うわけですから、日本国内のプラスチックリサイクルが大きな転換期を迎えるはずです。一度市場に流通したポストコンシューマー材は行き場を失います。また、樹脂ミックス品の取扱いが不可となる中、今まで弊社が時間をかけて高品質な商品の出荷に努めてきたことが意味を成してきていると感じます。
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ビジネスタイアップなど相乗効果を期待
Q:今後パンテックに期待することは何ですか?
フラットに話し合える関係性を活かし、ビジネスのさらなる展開も期待できます。
パンテックの営業担当者とは長い付き合いの中で、営業マンとしてでなく同業者のような近い距離、同じ目線で向き合っていただいています。いままで築き上げてきた関係性があるからこそ、ビジネスマッチングのようなことが可能だと感じています。例えば、現状でもお互いが知っている取引先がいくつかありますが、企業の紹介を双方で行い、困りごとがあれば協力して解決のアイデアを見出すなど、いろんな可能性があると感じています。難しい面もあるかとは思いますが、フラットに話し合える関係性を活かし、ビジネスのさらなる展開も期待できます。
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これからの事業展開
Q:今後の事業展開について教えてください
「ノーマライゼーション」を実践する企業として、社会に貢献をしていきたいです。
パンテックとは2011年に取引がスタートし、順調に取引が継続しています。弊社の事業というのは、親会社である株式会社橋本の委託業務がメインです。ひまわりクリーンセンターとしての単独事業をもっと展開していきたいと考えています。重ねての説明になりますが、弊社ではハンディキャップの有無で区別することなく、特別扱いや甘やかすことなく分け隔てなく仕事に向き合う環境づくりができています。「ノーマライゼーション」という考え方を持っているだけでなく、実践している企業と呼べるのではないでしょうか。
ハンディキャップを持った方にも仕事に対する責任感を持っていただくことで、仕事を通じて成長する方々がいらっしゃいます。現場のリーダーを任された者はリーダーとしての使命感を強く感じ、責任を持って対応できるようになるなど多くの成長が見られました。業務上、指導にあたる者は障害を持った方に作業いただくという面で危険を孕むことを注意しなければなりませんが、それ以外はお互いに壁をつくることなく生活しています。この事例取材を通じて、どんな業種、業態であれ、ハンディキャップを持った方々に対する社会のあり方が少しずつ変わっていくきっかけとなればと願ってやみません。