2017.04.14

SOLAS条約の改正に伴うコンテナ総重量の計量義務化

世界的に大ヒットした作品として知られている映画『タイタニック』。

みなさん一度は観たことがあるかと思います。イギリスの豪華客船・タイタニック号が沈没する前、船首で別れを嘆く男女の姿は大変感動を呼ぶワンシーンです。史実を基に制作されたこの映画ですが、1912年に起こったこの事件を契機に、船舶の安全確保、海上での保安体制の強化が叫ばれ、海上人命安全条約(SOLAS条約)が制定されました。

 

「排出元企業様からいただいた商品を滞りなく販売先企業様へお届けする」

当たり前のようにも聞こえますが、排出元企業様や販売先企業様にとって「当たり前」のサービスを提供し続けることは、容易なことではありません。しかし、パンテックでは日々の業務の中で努力を積み重ね、安心で安全なお取引を通じて信頼関係を構築させていただいております。その結果、昨年は約2,500本のコンテナ輸出を達成しました。

法令順守に則った取引を行う弊社にとって、安心かつ安全な海上コンテナ輸送は最も重要な要素の一つです。今回は、2016年7月から改正されたSOLAS条約の内容と改正の背景、そして、パンテックの取り組みをご紹介いたします。この記事掲載にあたり、乙仲業者様より厚いご協力をいただいたことに感謝申し上げます。初めに、国土交通省が敷いた『国際海上輸出コンテナの総重量の確定方法ガイドライン(2016年4月)』に沿って説明させていただきます。

 ■ 荷崩れを起こしたコンテナ船

 

SOLAS条約とは

SOLAS条約とは、「The International Convention for the Safety of Life at Sea」の略称です。条約の内容は、救命艇・無線の装備、テロ防止を目的とした港湾設備の保安体制強化の義務化など、その適用範囲は船舶の安全に関する事項全般にあたります。日本は1980年に加入し、現在では172ヶ国がこの条約に批准しています。

 

SOLAS条約改正の背景

今回の改正のきっかけの一つとして、韓国で起こったセウォル号の転覆事故が挙げられます。2014年4月に起こったこの事件はまだ記憶に新しく、当時は世界各地で大々的に報道されました。この転覆事故の引き金は、船舶への貨物の過積載が大きな要因であったと言われています。また、コンテナ貨物総重量を誤申告する業者が増え、コンテナの荷崩れ事故が世界的に相次いで発生しました。このことから、2016年7月1日以降、輸出コンテナに関して船積み前にコンテナ総重量を計測し、コンテナ総重量の確定と申告義務が荷送人に課せられることとなりました。

 

SOLAS条約改正のポイントは「総重量申告の証明」

今回のSOLAS条約の改正部分は以下です。

【改正前】

1.荷送人は、以下の内容を含む貨物情報を含む資料を船長(または代理人)に提供

◆貨物の概要 ◆貨物または貨物ユニットの総重量 ◆運送に関連する貨物の特性

2.荷送人は、船積み前に貨物ユニットの総重量が船積書類に記載されているものと一致することを確認

【改正後】

改正前の規定に以下の内容を追加

3.荷送人は、コンテナ貨物については以下2通りのいずれかの方法で総重量を証明

① 調整・証明済み装置を用い、実入りコンテナの総重量を計測

② 国が承認した方法により、コンテナの自重・貨物・パレット等の重量を足し合わせ

4.荷送人は、上記方法で計測されたコンテナ総重量の船積書類への記載を確認

5.荷送人からコンテナ総重量の情報提供がなく、船長(その代理人)およびターミナル代表者がコンテナ総重量を入手していない場合は、当該コンテナの船積禁止

 

陸地でのコンテナ輸送を行う場合、道路交通法で定められた制限重量内での走行が義務づけられています。制限重量を超えたコンテナ輸送を行うトラックは、走行中に車体のバランスを崩し横転する恐れがあると考えられているからです。船舶でも同様のことが言え、正確な重量の計測や申告を誤ると事故を引き起こしかねません。今回の改正に伴い、重量申告を証明するものがないとコンテナの船積みができなくなりました。

コンテナ重量の正当性を確実なものにするため、荷送人自身が総重量を認証、確定する場合は荷送人による国土交通大臣への届出、または第三者(乙仲業者や計量証明事業者)に委託して重量を確定する場合には第三者の国土交通大臣への登録が必要となります。(登録されている業者を登録確定業者と呼びます)

 

プラスチック再生資源の輸出を行う企業として

パンテックでは今回の条約改正前から第三者にコンテナ総重量の計量を委託しており、その計測結果をもって輸出申告を行っていました。そのため、改正に伴う大きな混乱、業務への支障はありませんでした。事前に各港の乙仲業者様を通して情報収集を行い、各港の状況や改正に際する必要事項を確認し、弊社が業務委託をしている乙仲業者様にこの登録確定業者として登録いただくことで、メーカーバンニングでご出荷いただく排出元企業様に対しても何の問題もなくオペレーションができました。

今回のブログを書いた目的として、条約改正が行われた事実と改正内容の周知を広く促したいという思いがありました。公明正大に事業を行う企業としてだけでなく、輸出が多くを占めるプラスチックリサイクル業界の知識の底上げ、また、輸出者としての責任について改めて考える機会につながれば幸いです。

以前、本ブログで紹介させていただいたバーゼル条約船積み前検査と同様に、SOLAS条約の内容に反することなく法令順守を第一として「正しいことを当たり前に」取引を行っていきます。また、プラスチックリサイクル業界に関連する条約の改正や業界動向、最新動向などの情報発信に今後も努めてまいります。

多くのお客様に安心、満足いただけるサービスの提供を目指す精神がパンテックの根幹にあります。

まとめ

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