積水化学工業株式会社様

全グループ会社の「2030年マテリアルリサイクル率100%」に向けて プラスチックリサイクルをトータルプロデュース

積水化学工業株式会社 様

 「2030年にマテリアルリサイクル率を100%へ。」2021年9月、積水化学工業株式会社様が「2050年のサーキュラーエコノミー実現」を目指し資源循環方針およびその戦略を策定されました。1947年にプラスチックの総合的事業化を目指し会社を創設されて以降、企業活動を通じた社会的価値の創造を目的に邁進されてきましたが、ギアを一層上げるという目標を自らに課されました。 

 「資源循環方針」の布石とするために現状の関連する取り組みを評価してほしいと、パンテックへ依頼くださったのは同方針策定のおよそ1年前。全国に58社あるグループ会社も含めて既に尽力されている取り組みの中でプラスチック廃棄物の再資源化を最大化する術は何か。パンテックへ依頼くださったコンサルティングについて、ESG経営推進部の担当課長である吉田徹氏に振り返っていただきました。 

 積水化学工業株式会社について 

 1947年、プラスチックの総合的事業化を目指し、積水産業株式会社として発足。現在は「住・社会のインフラ創造」と「ケミカルソリューション」の領域において、住宅カンパニー、環境・ライフラインカンパニー、高機能プラスチックスカンパニーの3つのカンパニー(事業体)と、メディカル、コーポレートで事業を展開。国内グループ企業46社、海外グループ企業12社。設立:1947年3月。大阪本社:大阪市北区、東京本社:東京都港区。 

MicrosoftTeams-image-(4)積水化学工業株式会社 ESG経営推進部 担当課長 吉田徹氏 

Press 1 コンサルティング依頼に至るまで 

Q1: プラスチック廃棄物のリサイクルに関してお持ちの課題は何でしたでしょうか。 

A1: 更なるESG経営の推進に向けて、全国各地に点在する生産拠点から排出されるプラスチック廃棄物のマテリアルリサイクル率をこれまで以上に引き上げることです。 

 私たち積水化学グループは「住・社会のインフラ創造」と「ケミカルソリューション」のパイオニアとして確かな品質の製品とサービスをお客様に提供してまいりました。 

 いずれの事業領域においても、プラスチックはこれまでもこれからも重要な材料のひとつであるため、生産工程においてプラスチック廃棄物の排出量を削減するための努力や、生産時に発生した端材等を原料に戻して再利用する内部リサイクルを、各生産拠点で積極的に推進してきました。また、やむを得ず廃棄物として処理する際にも、エネルギーを含む再生原料として活用する処分を実施してきました。 

 ただ、世界的にグリーンシフトが進む中で、取引先様からも環境配慮に対するご要望をいただく機会が日に日に増えており、全国各地に点在する生産拠点から排出されるプラスチック廃棄物のマテリアルリサイクル率をこれまで以上に引き上げるなど、環境に配慮した取り組みをより一層進めていくことが必要でした。 

 積水化学グループではESGを経営の真ん中に据えており、近年では2018年より4年連続世界で最も持続可能性の高い100社「Global 100」(カナダのコーポレートナイツ社主催)に選出され、世界的評価もいただいております。それでも自分達で取り組むには限界がありました。私たちの取り組みを専門的な知見で客観的に評価し、目標に向けて実現可能性が高いと同時に私たちには気づけなかった視点を織り込んだ具体的な提案をくださり、弊社が誇る現場の社員の確かな技術力とサービスを活かして伴走してくださるプロデューサーを探していたんです。 

Q2: パンテックとの出会いについてお聞かせください。 

A2: 2020年2月に東京で開催された循環型社会実現に必要な技術・サービスに関する展示会でパンテックのブースに訪問したのがきっかけです。 

 今でこそ世界規模での共通認識として環境への配慮や気候変動課題への取り組みを踏まえた企業経営が推進されていますが、1996年の創業以来一貫してマテリアルリサイクルに取り組み、近年ではリサイクルすることを念頭に置いた商品設計や環境を配慮した商品の製造にまで着手されているパンテックの企業活動が、まさに求めていたイメージと合致したんです。また、パンテックは他社に先駆けて「サーキュラーエコノミー」を打ち出しており興味を持ちました。ようやく最近になりサーキュラーエコノミーや循環経済などの言葉が知られるようになってきましたが、当時としてはまだ珍しかったように思います。時代を先取りする企業だと印象を受け、自分から連絡を取りました。 

Q3: パンテックを選んだ理由をお聞かせください。 

A3: パンテックは全国各地に再生原料化などの加工を担う提携企業様がおり、かつ国内外に多数の販売チャネルを有しているので、場所や樹脂を問わずに、高い水準でプラスチックリサイクルを推し進めることができる数少ない企業だと考えたことが大きな理由です。 

 弊社は全国各地に製造拠点(工場)があります。工場では地元の加工工場様などとマテリアルリサイクル率の最大化に向けて尽力してきましたが、全拠点を横串で俯瞰し、全体的に改善していく難しさを感じておりました。そのためパンテックが自社工場を持たず、日本各地にパートナーであるプラスチック廃棄物加工工場様と連携して場所にとらわれずに事業展開できる点、また国内外に多数の再生材の販売チャネルを有している点が非常に魅力的でした。そしてプラスチック廃棄物の回収のオペレーションからペレット化、リサイクル商品の製造といった多種多様なサプライチェーンをお持ちでした。 

  ビジネスライクではなく、同じ釜の飯を食べたように打ち解けてお互いのことを考えて働く感じが望ましかったので、そのあたりの波長が合ったのももう一つの大切な理由です。黒木常務を始めとしてパンテックの皆様と会話を重ねる中で、26年間積み上げられてこられた実績と豊富な知識、そして弊社の環境を配慮した取り組みに本気でぶつかってきてくれそうなベンチャー的な雰囲気を感じ、信頼できる会社だと感じました。 

MicrosoftTeams-image-(6)パンテック DMG部長 矢野 拓慎 

Press 2 コンサルティングについて 

Q4: 発注された内容をお聞かせください。 

A4: プラスチック廃棄物の有価物化及び再生原料化、プラスチック廃棄物の有価販売価格の見直し、循環型の製品化スキームの構築、産業廃棄物及びサーマルリサイクルに関する処理コストの低減の4つをテーマにコンサルティングを実施していただきました。 

 まず始めに弊社からパンテックへ社内システムを活用して収集した国内全工場のプラスチック廃棄物のデータを共有し、アイテム名、発生量、処理方法などを基に、プラスチック廃棄物の発生量が多い工場を選んでパンテックの皆様に視察いただきました。各工場の視察では排出アイテムの現物と生産工程と置場まで導線をひとつずつ丁寧に確認いただきながら、オペレーションについて現場の担当者にヒアリングしていただいたんです。そしてプラスチック廃棄物の有価物化及び再生原料化、プラスチック廃棄物の有価販売価格の見直し、循環型の製品化スキームの構築、産業廃棄物及びサーマルリサイクルに関する処理コストの低減を目指して評価いただいた流れです。最後に評価をレポートにまとめて、報告会で発表いただきました。 

 結果、今までの積極的な取り組みを踏まえてもなお、工場から排出されるプラスチックの総発生量のうち15%に改善の可能性があることがわかりました。パンテックや全国の提携工場様とのネットワークを通じて、パートナーの変更や機械の導入、廃棄物の選別や粉砕による輸送効率の向上などのコーディネートを行っていただいた場合、マテリアルリサイクル比率や売却単価の向上、処理費用の削減が期待できることをご提案いただきました。 

Q5: コンサルティングに関していかがでしたでしょうか。 

A5: 積水化学グループとしての課題や各生産拠点の課題を精査した上で、実現可能性の高いご提案をいただき、そして今後を見据えたクローズドループのご提案をいただけたことに満足しています。 

 工場視察では、データと照合しながらプラスチック廃棄物の現物を一つ一つ確かめ、資源循環に向けて改善の余地あるアイテムを選定、アクションプランと年間処理コストの改善想定額を丁寧に算出いただきました。対象のアイテムの管理方法を変えれば再生資源化出来るような「将来の有価物」をプロの目で見つけてくださったこともありがたかったです。 

 特定のプラスチックにおいては日本国内で再生原料加工が困難だとも御社から伺いましたが、パンテックは幅広いネットワークをお持ちなので、多様な展開が期待できますね。 

 プラスチック廃棄物の回収時、紙やシールなどの異物除去や樹脂別の分別、圧縮梱包加工などを施して輸送効率を上げる必要があることも引き続き留意したいと思います。 

 そして弊社が排出したプラスチック廃棄物を外部で再原料化し、原料の一部として製品に投入するクローズドループの取り組みも、資源循環の観点から重要であることを改めて理解しましたので、出来るところから着手していきたいです。 

 マテリアルリサイクル率100%達成は、今まで取り組んできた方法にメスを入れるわけですから痛みを伴うことだと思うんです。だからこそ、まずは何より弊社の確かな技術力とサービスを牽引している工場などの現場の魅力と可能性を感じていただきたいですね。その上で、私たち自身が変革に痛み以上の喜びを感じ、誇りを持って継続出来る取り組みにしたい。私たちはどうしても過去の経験から、本当はモノ・資金の追加投入なしで対応可能なことでもそれらが必要なのではなどと先入観が働いてしまいますが、根気強く働きかけてくれることを期待しています。 

Press 3 これからの事業展開 

Q6: パンテックに今後期待することがあればご教示ください。 

A6: 今回ご提案いただいた内容を実行に移していただき、2030年「マテリアルリサイクル率100%」に向けて、今後も外部パートナーとして伴走していただきたいと思います。 

MicrosoftTeams-image-(5)

 弊社がこれまで活用していたプラスチック廃棄物のシステムについても、リサイクル化に向けて有効的な管理方法など気づきをいただきましたので、現在システム改修を進めています。 

 パンテックの皆様と話をする中で、一取り組みへの気づきから、プラスチック廃棄物から作られた再生材が入手しづらくなってきているような、世の中が一変している状況というのを初めて知りました。パンテックが日々の取り組みの中で入手されるリサイクル業界の最新の動向や実感される見解を今後積極的に弊社に共有いただきたいです。最新の状況を弊社の社員が知り社内で意見交換することで、弊社の環境意識も深まっていくのだと思います。 

 今回、パンテックに積水化学グループを対象としたコンサルティングを実施いただき、パンテックの皆様がどんな方たちでどんな思いで取り組んでくださったのかが、よく伝わってきました。資源循環の取り組みは、自社で目標を設定することはできても、自社だけで目標を達成することはできません。積水化学工業株式会社とパンテック、プライドを持って社会的価値の創出に取り組んできた者同士です。2030年のマテリアルリサイクル率100%達成していくためには課題も多いですが、互いの強みを交えてソリューションを共創していきたいですね。そしてその成果を対外的に発信していくなどして日本のサーキュラーエコノミーを牽引していきましょう。これからもよろしくお願いいたします。

まとめ