「で、おわらせないPROJECT」第3弾
dentsu Japan※1が2022年に始動させた「で、おわらせないPROJECT」は、身近にあふれるプラスチック製品に、環境に配慮しながらアイデアとデザインを加えてアップサイクルすることで、あたらしい価値を生み出すプロジェクトです。また、多くの方が参加できる仕組みをつくることで、より良い循環を生むことを目指しています。パンテックはこのプロジェクトに企画段階から参画し、リサイクルパートナーとして携わっています。
※1 グローバルに展開する「dentsu」の4事業地域のうち、日本事業を統括・支援する機能とともに、日本の事業ブランドを示す。dentsu Japanは「Integrated Growth Partner」として顧客企業の成長、ひいては社会の持続的発展に貢献する。
「で、おわらせないPROJECT」第3弾
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風呂敷 HYAKU-YOU(ヒャクヨウ)
「で、おわらせないPROJECT」第3弾では、dentsu Japan内で入れ替え期限を迎えた備蓄用飲料水の容器(ペットボトル)を回収し、サステナブルでビューティフルなフロシキ「HYAKU-YOU(ヒャクヨウ)」にアップサイクルしました。
今回のプロジェクトでは、パンテックはペットボトルからフロシキにアップサイクルするスキーム構築を担いました。
最近ではサステナブル素材として「再生(リサイクル)ポリエステル」が使用されている製品が多く流通していますが、今回はまさしくペットボトルから「再生(リサイクル)ポリエステル」をつくり、それをもとに風呂敷「HYAKU-YOU(ヒャクヨウ)」を製造しました。
製造過程は下記のようになります。
「HYAKU-YOU」製造過程
- 1.粉砕加工
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dentsu Japan内で集められたペットボトルを粉砕加工しフレーク状にします。
- 2.比重分離
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1を比重分離機(巨大な水槽のような機械)に投入し、比重(重さ)によって素材を分別します。ペットボトルのキャップやリング部分にはHDPEやPPが使われていますが、それらのオレフィン系の樹脂は比重が軽く水に浮くのに対し、PET素材は比重が重く水に沈みます。
- 3.洗浄・脱水・乾燥
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沈んだ素材(PET)のみを取り出し、洗浄・脱水・乾燥させます。
- 4.ペレット加工
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3をルーダー(押出機)に投入し、ペレット状に加工。
1~4の過程を経て、でき上がったペレットから糸を紡いでいきます。この糸が「再生(リサイクル)ポリエステル」です。再生(リサイクル)ポリエステルの糸を織り上げて原反(ロール)にしたあと、柄の印刷、裁断、縫製の工程を経て製品に仕上げていきました。
「HYAKU-YOU(ヒャクヨウ)」のデザインには、福祉を起点に新たな文化をつくりだす福祉実験ユニットの株式会社ヘラルボニーが契約する3人の異彩作家が描いたアート「レースフラワー」「afrikarose」「DRAGON」が採用されています。
風呂敷はいまのように環境への配慮が求められるはるか前からリユースを想定されたサステナブルな製品として使われてきました。そこには日本文化の知恵が詰まっています。工夫を凝らせば普段の暮らしやビジネスシーンで活用でき、包むことで気持ちを伝えることもできる万能アイテムです。とりわけ「HYAKU-YOU(ヒャクヨウ)」は、この異彩を放つカラフルなパワーが秀逸で、環境性はもちろん、機能性やデザイン性を兼ね備えたプロダクトとなっています。
福祉実験ユニット・ヘラルボニーが契約する異彩作家のアート作品を起用
今回のアップサイクルスキームは、本プロジェクトの第1弾「名刺用凸型点字器ten・ten」、第2弾「loop +loop(ループリループ)」よりも工程が長く、多くのパートナーとの共創が必要でしたが、実はアップサイクルの難易度としては、第1弾や第2弾よりも高いものではありませんでした。それは元材がペットボトルだったからというのも理由のひとつに挙げられます。
ペットボトルはサーキュラーデザインのお手本のようなプロダクトで、世界的に素材が統一されており、リサイクルがしやすいアイテムです。事実、日本におけるペットボトルのリサイクル率は86%※2と高く、樹脂別で最もマテリアルリサイクルされているのがPET※3です。
使用済みペットボトルは今回のように「再生(リサイクル)ポリエステル」となったあと、繊維製品にリサイクルされるほか、新たなペットボトルに再生される水平リサイクル「ボトルtoボトル」の用途として使用されるスキームも確立されています。また各種シートにも再生されるなど、リサイクルの出口が広いアイテムです。社会的にも「ペットボトルはリサイクルできるもの」と認知が広がっており、使用量と回収量が安定している点も他の樹脂製品とは異なる点といえます。
※2 PETボトルリサイクル推進協議会 https://www.petbottle-rec.gr.jp/data/calculate.html
※3 一般社団法人プラスチック循環利用協会 https://www.pwmi.or.jp/
3つの柄は、「異彩を、放て。」をミッションに掲げるヘラルボニーが契約する、知的障害のある作家の作品
Credits
plan/product design
株式会社 電通
〒105-7050 東京都港区東新橋1-8-1
で、おわらせないPROJECT
https://deowarasenai.jp/
課題解決マーケティング情報サイト「Do! Solutions」
パンテック取材記事
https://www.d-sol.jp/blog/recycling-plastic-materials
design
株式会社ヘラルボニー
本店所在地
〒020-0026 岩手県盛岡市開運橋通2-38 @HOMEDELUXビル4F
東京拠点
〒100-0004 東京都千代田区大手町2丁目7−1 TOKIWAブリッジ13F
株式会社ヘラルボニーHP
https://www.heralbony.jp/