2018.05.09

PEプラスチックスクラップのリサイクル動向【海外編】

2017年に中国政府が発令した『国門利剣』の環境政策から一年が過ぎ、全世界のプラスチックリサイクラーの混乱は現在でも収拾がつかない中、中国以外の第三国市場へとシフトしつつある。

今回は、PEフィルム輸出の現状と第三国への通関状況、国内リサイクルルートと国内エンドユーザー向けのPEフィルムの品質基準を紹介する。

PEプラスチックスクラップの輸出統計

日本の財務省が発表している貿易統計では、HSコードと呼ばれる輸出入統計品目番号で日本の輸出入の数量を管理している。そのうち、PEスクラップの2017年3月単月で日本からの輸出統計を見てみると、中国(香港含む)へは27,504トンが輸出されており、2018年同月は1,518トンと、輸出数量は前年同月の約5%にまで激減しており、中国向けは全面輸出禁止の状況にある。

その反面、中国向けに販売されていたPEスクラップが第三国市場へ方向転換されたことが下記の数字からも見て取れる。

     (2017年3月) (2018年3月) 
ベトナム :1,797トン ⇒ 7,314トン(4倍)
マレーシア:1,432トン ⇒ 3,676トン(2.6倍)
タイ   : 140トン ⇒ 6,936トン(50倍)
台湾   :1,124トン ⇒ 4,097トン(3.6倍)

販売現地でのコンテナ滞留問題

ASEAN諸国へのプラスチック原料輸出の急増により、現地の港では様々な問題が頻発している。2017年夏ごろから、ベトナムやマレーシアの港にコンテナが滞留し始め、年末から年が明けた後もコンテナの長期滞留が問題となっている。

某ベトナムフィルムメーカーによると、「ホーチミンにあるカト・ライ港では年末に3,000~3,500コンテナが滞留していたが、2月のテト明け頃から輸入業務の通常化と輸入ライセンスの新規発行が進み、4月後半では滞留コンテナは1,000~1,500コンテナ程になり、長期滞留が徐々に解消される方向になりつつある」との情報だ。

その影響で、プラスチック原料輸出のコンテナが未だ確保しづらい状況に陥っている。
コンテナ滞留問題が勃発する以前は、コンテナのブッキングがスムーズにできていたが、契約時にライセンス有無の確認ができたとしても、ライセンス枠が有効かどうかが不明であるため、コンテナが現地の港に到着した時点でライセンスが使用できない状況が頻発していた。

現在、日本から東南アジア向けでプラスチックスクラップを輸出する際には、荷受人情報や輸入ライセンスの有無を提示するよう船会社から要請を受ける事態である。コンテナ滞留による実害を被った船会社は、プラスチックスクラップのブッキングを拒否、または、プラスチック製品のみブッキングを受付けるという制限が設けられ、ブッキングの際に、運送業務上の損害が発生する可能性がある場合、荷主(Shipper)が損害保証をする念書を求められることも最近の船会社側の対応となっている。なお、船会社の中には、東南アジア向け航路の一部サービス停止に踏み切る船会社も出ている模様だ。

輸入者による輸入ライセンスの貸し借り

加えて、コンテナ滞留の一因となっているのが、現地エンドユーザーの輸入ライセンスの貸し借りが横行していることだ。輸出入を行う企業は政府から輸入または輸出の許可ライセンスが発行されるが、ASEAN諸国で自社の輸入ライセンスを保有している企業は多くなく、他社のライセンスを借りて輸入を行うケースが多くなってきている。

ベトナム現地企業の話によれば、今まで某大手リサイクルメーカー2社が偽ライセンスを使用し、摘発されており、摘発企業のうち1社は社長が逮捕されるという重大な事態に発展していることからライセンスの貸し借りに対する規制が厳しさを増している。

以前は、商社にも輸入ライセンスが発行されていたが、今では環境省の認可が下りた工場設備を持つ製造業にしかライセンス発行が認められていない。また、以前であればライセンス申請をして4ヶ月ほどで許可が下りていたが、今となってはライセンス申請から8ヶ月から1年かかり許可が下りるなど、ライセンス申請基準の厳粛化が加速化している。

加えて、プラスチックスクラップ輸入の際、10%の関税がかかっているが、ベトナム国内での消費税(VAT)10%に加え、通関費用やライセンスを借りた場合のライセンス使用料も高騰している。以前の輸入コストがコンテナ1本あたり25万円前後だったのに対し、30~35万円にまで跳ね上がっている。

このような他社ライセンス使用の不安要素を払拭すべく、ベトナムの現地企業では自社の輸入ライセンス取得に向け、設備投資などが盛んに行われている。
プラスチックスクラップの輸入ライセンスを取得する際には、下記条件が要求されている。
・生産設備を保有しているか
・指定の工場地帯に生産工場があるか
・工場排水設備などが政府の定める基準を満たしているか
・置き場スペースの管理が徹底されているか  など

海外市況:ベトナムにおいて

ベトナム国内のPEスクラップ動向を某フィルムメーカーに情報確認したところ、「ベトナムへ輸出されたプラスチックスクラップのうち、全体の70%が日本から仕入れ、30%は欧米サプライヤーから仕入れている。輸入したスクラップはペレットにし、2割はベトナム国内で消費され、8割が中国へ輸出されている」と情報を得たが、中国へ販売されるペレット価格より、ベトナム国内向けに販売するペレットの方が高い状況である。

価格の高いベトナム国内ではなく、
中国向けのペレット販売が大半を占めている理由として、
1)代金回収面が安定している
2)中国ではどんなグレードのペレットでも供給可能で、品質管理がそこまで徹底されていない
3)中国バイヤーからの原料要求が強く、ACFTA(中国ASEAN自由貿易協定)がプラスに働いているためである。
よって、多少の価格の開きはあるものの、中国向けの販売が多くを占めている背景がベトナム市場にはある。

PEスクラップの品質基準

日本を含む原料輸出国への品質要求は、国門利剣が始まった当初は中国が設けていた基準よりも厳しく、汚れのないフィルムであること、異樹脂や異物の混入のない単一樹脂であること、選別済みであることが強く求められていた。理由として、ASEAN諸国は中国と比較して労働人口が少なく、リサイクル工場内での選別作業に割く人手が不足していることが高い品質基準の背景として潜在していた。

しかし、現在では提携先工場との受入れ体制を構築できたことが奏功し、Aグレードフィルム、PPバンド混じり、MIXフィルム(LDPE, HDPE, PPバンド)にも対応可能である。

取扱い品目に関する詳細情報をお求めの方は、弊社までお問い合わせいただきますようお願いいたします。
TEL:0120-720-888
MAIL:info@pantechco.jp

プラスチック排出企業の皆様へ

日本国内のプラスチック輸出企業では、販売先を中国からASEAN諸国へスムーズにシフトできた企業もあれば、販売先が見つからず、RPF原料としての販売や、やむなく産業廃棄物として処分されるプラスチックも大量に発生しており、リサイクルそのものが困難となっている状況であります。

弊社では、第三国市場への販売ルートを確立しているだけでなく、輸入ライセンスを保有している現地ローカル企業とのパートナーシップが構築できていることで、継続的で安定した取引を実現しております。改めて第三国市場への販売を検討されておられる排出企業様にご提案の機会をいただければ幸いです。

今回は、海外リサイクルにおけるPEフィルムや海外市況に関して紹介しましたが、次回のブログでは日本国内循環型のリサイクルルートについても弊社の取り組みをご紹介させていただきます。どうぞご期待ください。

 

まとめ

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