2017.07.27

中国『国門利剣(ナショナルソード)2017』に関して

■ 中国によるWTOへの通告「一部廃棄物の輸入全面停止」

2017年7月18日、中国は世界貿易機関(WTO)に対し、年内にプラスチックや紙など一部廃棄物の輸入を停止することを通告しました。廃プラスチックにおいては、“生活ごみ由来”と対象品目は限定されているものの、中国への原料供給を行っている全世界の企業に激震が走っています。

 

>>中国、年内に「ゴミ」の輸入を全面停止へ

>>China to WTO:Scrap plastic imports banned by year-end

■ 背景

今回の中国への輸入取締りの発端は、今年2月に遡ります。以前より、中国では環境問題に警鐘を鳴らしていますが、環境のみならず人体への悪影響も懸念されています。特に、年間200万t以上の廃プラスチックが欧米から中国へ輸出されており、それらの貨物の中には、環境を著しく汚染する低品質で粗悪な貨物が大量に混入する事態が慢性化していました。そのため、「欧米からの再生資源=洋ゴミ」という考え方が定着していきました。

2月7日、中国税関において『国門利剣2017』プロジェクトに関する会議が開催され、
下記輸入品目を対象とすることが方針決めされました。

【輸入規制対象品】
・固体廃棄物(廃プラスチック、古紙、廃鉄など)
・穀物などの食品類
・家電などの機械類
・薬物
・銃器など

■ これまでの流れ

4月には、具体的な取締り実施案の検討会議が行われ、洋ゴミの輸入取締りへの合意がなされました。このニュースは翌日には中国全土にテレビ放送され、即座に周知されるほどの大きな内容でした。

2013年に発令されたグリーンフェンス政策よりも厳しい取り締まりが行われ、輸入コンテナの全量検査や通関費用の高騰、税関検査の厳粛化により中国国内での大きなうねりを感じ始めたのが4月頃です。

7月1日より、中国全土の固体廃棄物輸入資格を保有する1,792社に対し、環境省による一斉監査が今もなお実施されています。監査内容として、輸入ライセンス取得状況と実際の輸入数量、工場での環境管理体制、廃水、排気、騒音などの排出状況などに関して多くの項目が挙げられています。また、中国で横行していたライセンス売買やライセンスの転売有無についても厳しく監査されています。

7月15日時点において、888社に対して監査が行われ、そのうち66%の企業が監査不合格と判定されました。また、今回の監査不合格企業に対して、1年以内に新たなライセンス発行はしないという厳格な方針が発表されました。

そして、7月18日、冒頭でお伝えしたニュースが全世界を駆け巡りました。中国からの通告に対し、WTOがどのように動くかは計り知れませんが、中国への輸入全面停止に備えたアクションが必須となります。

前述のPlastics Newsの記事にありましたHSコードは、ポストコンシューマー材(一度市場に出荷された使用済みの製品を回収し、再生した材料)であるPE, PS, PET, PVCなどの樹脂が今回の輸入停止品目に該当しています。

※HSコードとは…輸出入の際に、貿易上、それが何であるのかを世界各国で共通して理解できるよう取り決めた固有分類番号のことです。
例)
391510000 ⇒ PE
391520000 ⇒ PS
391530000 ⇒ PVC
391590110 ⇒ PET(フレーク状のもの)
391590190 ⇒ PET(フレーク以外)

■ パンテックだからできること

国門利剣2017に関する情報を事実のみ、お伝えさせていただきました。中国国内のみならず、日本のプラスチック取扱い事業者様にとっても、先の見えない不安な状況かと存じます。また、欧米諸国でもこれらの事が“DEVASTATING IMPACT(壊滅的な衝撃)”として大きな影響、混乱が生じていることが報道されています。

弊社でもこれまで様々な対応策を練り、状況に飲み込まれぬよう準備を重ねて参りました。弊社の強みとして、第三国と日本国内の商流が構築されているという点が挙げられます。

このような困難な状況下においても、弊社に根付く「三方よし」の考え方に基づき、排出先企業様と精一杯ともに歩んでいく所存です。

まとめ

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