皆様は「廃繊維」をご存知でしょうか?
製造工程から発生する事業系繊維くずをはじめ、皆さんのご家庭から発生する、
不要になった洋服やシーツ、カーテン等といった繊維製品がこれに該当します。
日本では四季折々、暑さや寒さが交互にやってくるため、衣替えを上手く図りながら
季節に応じた服装やインテリア用品に変化していきます。
繊維製品の一生を見ると、洋服にはトレンドがあり、
時が経てば新しい商品が次々に店頭へと並ぶことから、
古くなった洋服は着なくなり、やがて廃棄されます。
シーツやカーテンは、引っ越し等による住環境の変化や、
経年劣化によるほつれや汚れといったように、
季節や年月といった要因が重なり、それに応じて廃棄されるといったプロセスを辿ります。
廃棄された繊維製品は、一般的には焼却もしくは埋め立て処分をされます。
昨今、安くて質のいいものが手に入る「ファストファッション」の台頭や、
「プチプラ」と呼ばれる手に取りやすい商品が台頭していますが、
こういったものをはじめ、繊維製品が中々リサイクルされないのには以下の様な理由が存在しています。
①様々な素材が複合している
②製品の多様性(色、種類、ファッション性)
③再生後の製品用途
これらの理由をはじめとして、繊維製品のリサイクルは進んでいないことを
危機として捉えた企業が、繊維製品のリサイクルに向けた取り組みに注力しています。
今回は、廃繊維をうまく活用しようと取り組みを進める海外の企業についてご紹介いたします。
1. Sulzer Worn Againのデモンストレーションで、繊維のリサイクルを次のレベルに引き上げ
Sulzer Chemtechは、綿とポリエステルの衣服をポリエステルペレットに変換し、
セルロースパルプを新しい繊維に再紡糸する新しいWorn Technologiesの施設の設計と建設を支援しています。
WornAgainTechnologiesのプロセスは、綿とポリエステル繊維の混合、染料、フィラー、
添加剤の使用など、リサイクルに関する多くの主要な問題に取り組んでいます。
Sulzerによると、衣類のわずか1%が新しい衣類にリサイクルされていると推定されています。
Worn Againによって開発されたプロセスでは、繊維のアップサイクリングプロセスに、
Sulzerのカスタマイズされた蒸留、抽出、およびポリマーソリューションを使用しています。
新実証工場の計画生産量は年間1,000トンを見込んでいます。
2. Carbios社が世界初の再生繊維のプラスチックボトル生産に成功
フランスのバイオテクノロジー企業Carbiosは、
酵素的にリサイクルされた繊維廃棄物から初の透明ペットボトルを製造しました。
この最新のマイルストーンは、繊維廃棄物をリサイクルするCarbiosのテクノロジーの能力が認められ、
年間最大4,200万トン、400億ドルを超える価値のある追加の廃棄物ストリームへのアクセスを可能にします。
Carbiosのプロセスにより、価値の低い廃棄物を回収し、より困難な用途での使用が可能になるとされており、
同社によれば、PETベースのプラスチックや繊維の無限のリサイクルが容易になるとしています。
米国で廃棄されるすべての繊維の約85%は、埋め立て地に捨てられるか、燃やされます。
世界的には、衣類に使用される材料のわずか12%がリサイクルされることになります。
非常に特異的な酵素を使用するCarbiosのプロセスにより、繊維廃棄物を回収し、
ボトルに適した高品質のPETに変換することができます。生物学に基づいた酵素的解重合プロセスを通じて、
PETプラスチックを完全に分解してリサイクルします。
いかがでしたでしょうか。
大量生産・消費の時代から資源を循環させる時代が到来しているとはいえ、
海外においても、実態としてはまだまだ焼却処分や埋め立ては行われています。
だからこそ、リサイクルをしようという心意気は勿論大切ですが、
普段から一つのものを長く使うことや、一度にたくさん消費をするといったことをしないよう心掛け、
地球環境を守ろうという意識を持つことが必要です。
例えば、捨てようと思っていた衣服でも、メルカリのような
アプリを通じてフリーマーケットに出してみることや、
古着屋のような買取をしてくれるところへ持って行ってみる、
家の中で使用するクロスや布巾として使う…というように
考え方一つ変えてみるだけで、私たちができることはたくさんあります。
当記事をお読み頂いた皆様が、日常生活の中で少しずつ意識を変えてみることで、
環境に対して優しいアプローチができれば幸いです。
執筆者:パンテック ブログ編集部
まとめ
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