前回、ポストコンシューマ材料をリサイクルするに当たり、「乗り越えなくてはならないハードルが幾つか存在しています」と締めくくらせて頂きました。
「リサイクルする事のハードル」の答えとは ――
それは、
「プラスチックそのものがリサイクルがしやすい状態にあるどうか?」
ということにあります。
「リサイクルしやすいとは?プラスチックなら全てリサイクルできないの?」
と思われた方も多いのではないでしょうか。
実は、ひとくちに「リサイクル」すると言っても、幾つかの条件をクリアしなければプラスチックはリサイクルすることが難しいのです。
ではその条件とは何か。
簡単にまとめると、下記三つの項目が必須要素となります。
これらの項目が大きな課題となっているのですが、世界各国が持つ最新の技術力を持ってしても、まだまだ抜本的な解決が難しいのが実情です。
その理由として、
プラスチックは私たちの暮らしを豊かにするため、特殊なものを梱包することや、様々な素材と掛け合わせることでその利便性を遺憾なく発揮しています。
であるがゆえに、結果として リサイクルする工程が増える = リサイクルが難しくなる ことが課題とされているのです。
なればこそ、環境に配慮しつつ経済を生かすにはどうすればよいのか?
この答えこそ、「サーキュラーエコノミー」に他なりません。
これまで日本においては、リサイクルさせる素材の特性や、各企業が持つ技術力、市場規模感といった項目がボトルネックとなり、中々サーキュラーエコノミーの実現に至りませんでしたが、
世界各国が本気で同取り組みを実現化させるべく、行動を開始していることから、日本においても経済産業省主導のもと、目指すべき資源循環経済について資料がまとめられ、対策が進められています。
※出典:経済産業省 『資源循環経済の現状と課題』資料を基にパンテックが作成
https://www.meti.go.jp/shingikai/energy_environment/junkai_keizai/pdf/001_03_00.pdf
そんな中、今回ご紹介する事例は、より私たちの「暮らし」に身近なモノに焦点を当てた、海外企業のサーキュラーエコノミー事例をご紹介させていただきます。
ARLA社は同社製品である「Skyr」ヨーグルト容器について、新たにさらなる持続可能資源化を実現させるパッケージデザインを採用した。
新デザインは旧来のものよりプラスチック使用量が40%(16グラム)少なく、フタも含めて100%リサイクルが可能なものとなる。
ARLA社は同社のコア市場にて「Skyr」の1kgヨーグルトを年間で1700万個売り上げているため、新デザインとなることで年間270トンのプラスチック使用量削減、また年間440トン(30%)に相当するCO2が削減されることとなる。
手始めに新デザインのプラスチック容器はARLAのコア市場、デンマーク、ドイツ、スウェーデン、イギリス、オランダにて販売開始し、順次他の国での販売も開始すると同時に、同社の他の商品も持続可能なデザインのパッケージに変更をしていく予定だ。
全文はこちら(英文)↓
https://www.britishplastics.co.uk/materials/arla-develops-a-more-sustainable-packaging-for-its-skyr-buck/
Originally published by British Plastics and Rubber magazine.
ARLA社 ホームページ
https://www.arlafoods.co.uk/
F. Gaviña & Sons社は、シングルサーブのコーヒーカプセルが環境に深刻な影響を与えることを認識し、消費者が使用済みカプセルをリサイクルに回せる取組を開始しました。
ユーザーは使用済みのカプセルを、このプログラムで提携をしているリサイクル企業のTerraCycle社へと郵送し、ポイントを獲得できる仕組み。
ポイントの利用方法は、慈善団体へのギフトに使用したり、現金に換金して非営利団体、学校、または希望する慈善団体に寄付することができます。
一方、回収されたカプセルは洗浄、樹脂毎に分別、溶解され新たなリサイクル製品に生まれ変わります。カプセルに残留したコーヒーは工業用のたい肥化工場へ送られます。
F.Gaviña&Sons社 ホームページ
https://www.gavina.com/
Agilyx社はオレゴン州のビーバートンにある老人ホーム、Beaverton Lodgeと協業し、Beaverton Lodgeから発生する食品用EPSトレーを回収し、ケミカルリサイクルをすると発表した。COVID-19の影響でホーム内の食堂を閉鎖されており、スタッフと住民との接近を避けるため、PS容器を用いた配食サービスを開始したという。
老人ホームで使用済みのPS容器を収集し、Agilyx社へ。収集された貨物はAgilyxのジョイントベンチャーであるAmericas Styrenics、Regenyx、Americas Styrenics経由で新たな製品へリサイクルされる。このリサイクル活動によって、バージン材で新たな製品を製造することに比べ温室効果ガスが70%削減される。
PS容器由来の完成品事例
完成品の詳細サイト
https://amsty.com/products/styrene-monomer
全文はこちら(英文)↓
https://www.recyclingtoday.com/article/agilyx-recycles-retirement-residence-polystyrene-items/
いかがでしょうか。いずれの事例とも、リサイクルの仕組みそのものにフォーカスを当てた事で、環境への負荷削減と、経済活動の両輪を回すことに成功している事がお分かりいただけたのではないでしょうか。
同取り組みが日本でも加速していくにつれ、「リサイクル」はますます面白く、社会的に大きな意義のある活動になります。
次回はサーキュラーエコノミー時代の流れに沿った活動をしている、食品業界にフォーカスした事例について紹介をさせて頂きます。
どうぞお楽しみに。
執筆者:パンテック ブログ編集部
<<あとがき>>
パンテックでは企業様のサーキュラーエコノミー構築支援活動を行っております。
プラスチック廃棄物に対するサーキュラーエコノミーシステムや事例にご興味ございます方は、是非お問い合わせフォームよりご連絡ください。
<<お知らせ>>
弊社もサーキュラーエコノミーの取り組み事例といたしまして、弊社協力企業である「株式会社開伸」様とコラボした、フェイスシールドやパーテーションといったアイテムのご提案も致しております。
ご注文も随時受け付けております。ご用命の方は下記URLをご参照ください。
https://form.k3r.jp/pantech/pblog779
まとめ
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