前回、インターン生2名と高校とで実習を行うための準備についてご案内しました。
今回は、弊社の所在地である滋賀県の高校にて7月14日に行われた実習の模様をレポート致します。
前回記事:京都先端科学大学インターン生との取組み
今回は、「プラスチックは正しい知識をもって適切に扱えば再利用できる素材であり、環境保護にもつながるリサイクル素材である」ということについて伝えたく授業を行いました。また、これからの世を背負う高校生に、プラスチックリサイクルに取り組み続ける必要性や、「自分たちがすべきこと・できること」を考えるきっかけにしてもらいたいとの願いもあり実施をいたしました。
数年前、海に漂うプラスチックごみの影響で海洋生物の痛ましい現状がメディアなどで報道され、飲食業界でプラスチック製品の使用を自粛する動きが広まりました。また各国も、プラスチックバッグやその他プラスチック製品への法整備を急いでいます。そして、これを機に「脱プラ」が世界的に叫ばれていますが、果たして本当にプラスチックは良くないものなのでしょうか。身の回りにはたくさんのプラスチック製品があふれ、それらを使用して私たちは生活をしています。
では、何が良くないことに繋がっているでしょう。それは、不要になったプラスチックの処理に関する問題です。プラスチックは適切に扱えば再利用が可能で、バージン材よりも二酸化炭素の発生を削減できます。ですが、ポイ捨てや不法投棄よって、結果的に自然生態系や環境に悪影響を与えてしまっているのです。
プラスチックリサイクル体験の前に座学の時間を設け、プラスチックについて考え、学んでもらいました。
まずは、身の回りのプラスチック製品についてです。
高校生に思い浮かぶプラスチック製品の例をあげてもらったところ、ペットボトルやコップ、タッチパネルなどが出てきました。その他、身近なもので、筆箱や弁当箱、普段着ている制服も、プラスチック製品であることを伝え、制服には化学繊維というプラスチック製品が多用されており、プラスチック原料が繊維になるまでの工程も学んでもらいました。
次に、プラスチックのイメージについてグループで考え発表してもらいました。
プラス面では、「生産性が高い・加工しやすい・色んな形にできる・錆びない・再利用できる」、マイナス面では、「環境に悪い・ゴミが発生する・自然分解しない・燃やすと有害・思ったよりリサイクルできない」といった意見が挙げられ、マイナス面については少し苦戦しつつも、両面ともしっかりと考えてくれました。
生産性が高く便利なため普及しているプラスチック製品ですが、その反面ゴミになる量も多く、日本国内においては年間約850万トンが排出されおり、それを聞いた高校生は驚いた様子でした。そして、一部のゴミが海へ流出し、劣化して小さくなったプラスチックを魚が食べ、いずれその魚を人間が食べ、私たち人間の体内に入るという恐ろしい現実も学びました。
このような事前学習を経て、いよいよリサイクル体験が始まります。
高校生3人に協力してもらい、コースター作成体験を行いました。
役割は以下の通りです。
金型に原料となるプラスチック原料を入れてもらう役。
原料を入れた金型を高温に余熱されたプレス機に投入し、プレスする役。
プラスチックが解けた頃合いをみて、プレス機から金型を取り出し、冷却場所へ設置し、冷却後、プラスチックを金型から取り外す役。
プレス機でプラスチックを溶かすのに6~8分かかります。その間、事前にコースター作成をしたインターン生の失敗談を聞き、実際に様々な原料を見て触り、プレス機の状況を確認しているうちに、遠巻きから観察していた高校生たちも少しずつ興味を示し、話を聞いてくれるようになりました。
高温で危険が伴う作業でしたが、しっかりと注意事項を守り集中して作業をしてくれたので、作成したコースターはとてもきれいに出来上がり、作成したコースターは、授業に参加してくれた高校生全員に一つずつプレゼントしました。
―コースター作成体験に参加した高校生の声―
・プラスチックのポイ捨てや不法投棄を発見したら、分別できるものは拾ってきちんと捨てようと思いました。
・プラスチックをリサイクルしてコースターにする工程を見せてもらいすごいなと思いました。今回の学びを自分の将来に活かしたいと思いました。
・今日の授業で、プラスチックのプラス面とマイナス面について学びました。コースター作りは難しかったけど上手くできて良かったです。ちゃんと分別したらまた使えるのがすごいと思いました。
今回の実習は、インターン生の頑張り、真剣に授業に参加してくれた高校生や先生方のご協力のおかげで無事に終了することができました。
学校でも学んでいるリサイクルや環境問題について、今回の実習を通して少しでも身近に感じ、プラスチックはきちんと扱えば再度製品にできることを理解してもらえたら嬉しく思います。また、この学びを各々が行動に移し少しずつでも広めてくれることを期待しています。
授業をしたインターン生は、聞き手の反応に合わせた受け答えの対応を含め、物事を正確に伝える難しさを痛感したようですが、これから社会に出ていく彼らにとっても、プラスチック問題の実態を学んだことや、授業を行ったことは社会勉強になったことと思います。また、本インターンシップが彼ら自身の長所や短所を認識する良い機会にもなり、今後の就職活動や人生を歩む糧となれば、弊社としても意義のあることのお手伝いができたと感慨深く思います。
一方、弊社含めリサイクルに携わる企業は、それぞれの責務を果たし、環境保護・持続可能な社会の実現に向けて、連携をして取組みを行う必要があります。つくる企業は、いかにリサイクルしやすい製品を製造するのか、素材や設計から検討し、リサイクル業者は、どのように回収し再原料化しメーカーへ提供するのか、リサイクル技術の開発など、課題はたくさんあります。
弊社は、分野の垣根を越えてご賛同いただける方々と共に手を取りあいながら、これからもプラスチック資源循環に取組んでいく所存です。それと同時に、将来を担っていく若い世代へ、プラスチックリサイクルについて正しい理解・知識をつけてもらえるよう地域活動などにも引き続き注力し、皆様のお役に立つことができれば幸いです。
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
パンテックブログ編集部
まとめ
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