いよいよ2022年4月1日より「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律」(プラスチック資源循環促進法)が施行されます。この法律の施行によって、プラスチック製品のライフサイクル(設計・製造・販売・提供・排出・回収・リサイクル)に関わる事業者や市区町村は、これまで以上にプラスチックの資源循環に向けた取り組みが求められることになります。
施行が目前に迫る中、改めてこの“プラ新法”により、何がどう変わり、どのような対応を講じる必要があるのか。長年、プラスチックのマテリアルリサイクルを事業として展開してきた観点で、3回に分けて、分かりやすく解説いたします。
また環境省が「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律」の普及啓発のための特設ページを公開し、本法律に関するオフィシャルな情報を集約・発信していますので、そちらも合わせてご確認下さい。
(3)排出事業者による排出の抑制・再資源化等
排出事業者には、排出の抑制・再資源化等が求められることになります。これは廃棄物処理法における「排出事業者責任」に基づく措置と言えます。これまでにも排出事業者は同法に基づき、排出物の適正処理が進められてきましたが、さらにプラスチックの資源循環を促進させるために、排出の抑制・再資源化に取り組むことが求められます。とりわけ、前年度におけるプラスチック使用製品産業廃棄物等の排出量が250トン以上の事業者は、「多量排出事業者」となり、主務大臣(経済産業大臣、環境大臣)が定める判断基準に照らして、排出の抑制・再資源化の取り組みが著しく不十分と認められる場合には、勧告・公表・命令の対象となり、命令を無視した場合には「50万円以下の罰金」の対象となります。なお、排出量は事業所単位ではなく、事業者単位での計算となります。
事業活動に伴って排出されるあらゆるプラスチック使用製品産業廃棄物等が対象となりますので、工場で排出されるプラスチック端材などはもちろんのこと、店舗や倉庫で排出されるストレッチフィルムや緩衝材、オフィスで排出されるボールペンやクリアファイル、バインダー等も対象となります。
また、製造・販売事業者等による自主回収・再資源化と同様、排出事業者による排出の抑制・再資源化等を促進していくための制度が創設されます。本制度により、排出事業者等が作成した再資源化事業計画を主務大臣(経済産業大臣、環境大臣)が認定した場合に、認定を受けた事業者は廃棄物処理法に基づく業の許可がなくても、プラスチック使用製品産業廃棄物等の再資源化事業を行うことができるようになります。ただし、その場合であっても、廃棄物処理法における業の許可以外の、廃棄物処理法に基づく規定(処理施設の設置許可、産業廃棄物管理票の交付等)は引き続き適用されることになります。なお、この再資源化事業計画を申請できるのは、排出事業者もしくは複数の排出事業者からの委託を受けた再資源化事業者に限られます。
これを機に、更なるプラスチックの資源循環の拡大に向けて、現状の取り組みを見直すことも必要ではないでしょうか。これまで産業廃棄物として処理していたものを資源として循環させていくためには、廃棄物の選別、粉砕による輸送効率の向上などを検討しなくてはなりません。特に「多量排出事業者」に該当する事業者の皆様は、共に取り組めるパートナー選定を含め、スキームの総点検を行うことが重要かと考えます。
冒頭の通り、「排出・回収・リサイクル」のフェーズでフォーカスされているのは、現在、サーマルリサイクルや単純焼却・埋立されている622万トンです。今回のプラ新法で資源循環を促進させるために新制度が創設されますが、これまでの実績からも分かるように、これらを再資源化していくことには課題が伴います。そのため、プラ新法が施行され、新制度の運用がスタートしても、一気にプラスチックの資源循環が加速するわけではありません。
プラスチックのライフサイクルに関わる人たちの環境意識が高まることで行動変容が促され、サーキュラーデザインの観点から商品設計が行われ、日本国内に回収・リサイクル網がくまなく整備されれば、その状況も変わるでしょう。しかしそれには時間がかかります。
今回のプラ新法の施行では、革新的なソリューションが提案されたわけではありません。あくまでもプラスチックの資源循環を促進していくため契機の一つであり、問題提起としての側面が強いのではないかと思います。これまで再資源化ができていなかったものをリサイクルしていくということは、未踏領域への挑戦です。
深刻化する環境問題を前に、理想と現実のギャップを早急に埋める必要があります。プラスチックのライフサイクルに関わるあらゆる業界が互いの知見を持ち寄り、共創(Co-Creation)し、ソリューションを創出していくことが、今、求められています。
資源として循環するプラスチックの質と量を引き上げる。私たちパンテックは、「環プラ®︎」プロデュースカンパニーとして、強い意志を持って、この挑戦に立ち向かいます。
プラ新法への対応をはじめ、プラスチックのリサイクルや再生原料の調達にお悩みの際は、お気軽にお声がけください。
まとめ
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