今回は『市況報告』の記事の中から、特に反響のあった米国と中国の動きをピックアップしてご紹介します。
米国では、製品に含まれる再生プラスチック(PCR)のトレーサビリティ標準化を目的とした新法案「Tracking Plastic Act(プラスチック追跡法案)」が連邦上院に提出され、北米の再生樹脂市場で大きな話題となっています。一方アジアでは、中国が再生プラスチック政策を「量」から「質」へ転換する方針を打ち出し、高品質な再生材への需要シフトが進みつつあります。
いずれも日本企業にとって無関係な話ではありません。最低限押さえておくべきポイントをダイジェストでまとめました。
米国・中国|規制と政策の両面から進む再生プラスチックの「質」重視、日本企業も無関係ではない
(1)米国|「プラスチック追跡法案」上院提出、PCRトレーサビリティ標準化へ
米国連邦上院に、製品に含まれる再生プラスチック(PCR)のトレーサビリティ標準化とグリーンウォッシング(偽装環境表示)の防止を目的とした新法案「Tracking Plastic Act(プラスチック追跡法案)」が提出されました。
背景にあるのは、カリフォルニア州やワシントン州など全米各州で個別に導入されている再生材使用義務規制や環境表示ルールの乱立と、実態を伴わないPCR配合率の虚偽表示への危機感です。法案では、環境保護庁(EPA)・連邦取引委員会(FTC)・米国農務省(USDA)による連邦作業部会を新設し、標準化技術研究所(NIST)主導でPCR使用率の測定・報告に関する共通ガイドラインを策定する見通しです。対象は包装材、建設・インフラ、自動車など主要産業に及びます。
米国プラスチックリサイクル協会(APR)や大手環境団体もこの動きを支持しており、今後は再生材を調達できるかだけでなく、原産地・処理プロセスまで含めたトレーサビリティを証明できるかが、北米市場参入の実質的な条件になりつつあります。
(2)中国|再生プラスチック政策が「量」から「質」へ転換
中国工業情報化部が公表した「工業グリーン・低炭素発展“第15次五カ年計画(2026〜2030)”」では、2030年までに廃プラスチック年間回収利用量を2,200万トンとする目標が示されました。
もっとも、中国の廃プラスチック回収量は既に年間約2,000万トン規模に達しており、2030年目標は現状から約10%増にとどまります。
したがって今回の政策のポイントは回収量そのものの拡大よりも、高品質PCR化、自動車・家電・電子用途への高付加価値利用、低品質・混合廃プラスチックのケミカルリサイクル、再生材使用比率の引き上げなど、「量」から「質」への転換にあります。
中国のリサイクル市場は今後、廃プラスチックをどの用途に、どの品質で、どの技術で再利用するかを重視する市場へ移行していく可能性が高いといえます。
以上、一部記事のダイジェストとなります。
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